WiMAXってなに?ポケット型Wi-Fiとの違いも解説します
WiMAXは、モバイルルーターやWi-Fi機器の世界でよく耳にする言葉ですが、その実態について深く理解している人は少ないかもしれません。この記事では、WiMAXの通信規格とサービスの2つの側面について、ネットワークの専門家の視点から解説します。
目次
WiMAXとは何か?
WiMAXは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、無線通信技術規格の一つです。携帯電話の3GやLTEと同じく無線通信を提供しますが、標準化のプロセスが異なります。携帯電話の電波は3GPP(Third Generation Partnership Project)が標準化していますが、WiMAXは無線LANの標準化を行っているIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が規格化しています。
WiMAXには主に2つの形態があります。一つは固定通信向けの「WiMAX」、もう一つは移動しながら使用するための「モバイルWiMAX」です。日本では、UQコミュニケーションズが2009年から「UQ WiMAX」としてモバイルWiMAXを用いたサービスを提供しています。
WiMAXの通信規格とサービス
WiMAXという言葉は、通信規格とサービスの両方を指すことがあります。通信規格としてのWiMAXは、大量のデータを短時間で高速に送受信することを目指したもので、データ通信に特化した規格と言えます。一方、サービスとしてのWiMAX(特にUQ WiMAX)は、この通信規格を利用したモバイルインターネット接続サービスを指します。
WiMAX2+へ進化
WiMAXの後継サービスとして、UQ WiMAXは2013年に「WiMAX 2+」を提供開始しました。WiMAXの下り最大速度が40Mbpsだったのに対し、WiMAX 2+は110Mbpsと大幅に高速化しました。さらに、複数の帯域を束ねるキャリアアグリゲーション(CA)技術を利用したWiMAX 2+の下り220Mbpsサービスが始まり、現在では下り558Mbpsを実現しています。
WiMAX 2+は、通信規格としてはWiMAX 2.1(WiMAX Release 2.1)を利用しています。これは、モバイルWiMAXの後継規格として作られたWiMAX 2.0に、LTEの一種であるTD-LTEとの互換性を持たせたものです。このように、LTEとWiMAXは通信規格として非常に近い関係にあります。
WiMAXの利用メリットと注意点 WiMAXの最大のメリットは、通信容量が無制限であることです。また、工事なしですぐに使い始められ、利用できる接続台数が多いことも大きな利点です。しかし、3日間の通信量が10GB以上になると、混雑緩和のため通信速度が制限される点や、使用環境によっては電波が入りづらい点など、注意が必要です。
WiMAX+5Gのサービスではauの回線も利用できるように
WiMAX +5Gの特徴
WiMAX +5Gは、WiMAXの広範なカバレッジと5Gの超高速データ転送能力を組み合わせたサービスです。これにより、ユーザーは家でも外でも、最大4.2Gbps という驚異的なスピードでインターネットに接続することが可能になります。ただし、5Gは一部エリアでのみ提供されており、5G SA契約を通じて利用することができます。
WiMAX +5Gの利点
WiMAX +5Gの最大の利点は、その高速なデータ転送速度です。これにより、動画のストリーミングや大容量のファイルのダウンロードが非常にスムーズに行えます。また、WiMAX +5Gは、au 5G回線を中心に、最適な回線を自動で選択し接続するため、接続の安定性も高いです。
さらに、WiMAX +5Gは、一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合でも、混雑する時間帯の通信速度を制限することがあります。これにより、ユーザーはいつでも安定した通信速度を享受することができます。
WiMAX +5Gのルーター
WiMAX +5Gのルーターは、下り最大速度が4.2Gbps、上り最大速度が286Mbpsとなっており、2.4GHzと5GHzの無線LANに対応しています。これにより、ユーザーは自宅でも外出先でも、高速で安定したインターネット接続を享受することができます。
WiMAXとポケットWi-Fiは何が違うのか
WiMAXとポケット型Wi-Fiは、どちらもモバイルインターネット接続のためのデバイスですが、それぞれには特徴と利点があります。以下では、これらの違いを詳しく解説します。
ポケット型Wi-Fiとは何か?
ポケット型Wi-Fiは、キャリア回線やクラウドSIMを使用したWi-Fi端末のことを指します。この名称は、ワイモバイル(ソフトバンクグループ)の商品名である「Pocket WiFi」から来ています。しかし、現在では、小型で移動可能なWiFi通信端末全般を指すようになりました。これには、クラウドSIM型のWi-Fiルーターも含まれます。
WiMAXとは何か?
WiMAXは、WiMAX回線を使用するWi-Fi端末のことを指します。WiMAXは、UQコミュニケーションズ株式会社が提供している高速モバイルデータ通信サービスで、WiMAX専用の回線を使用しています。
ポケット型Wi-FiとWiMAXの違い
-
使用している周波数帯が違う:ポケット型Wi-Fiは700MHz~2.5GHz、WiMAXは2.5GHz・5GHzの周波数帯を使用しています。電波の周波数が高くなるほど直進性が強くなり、通信速度が速くなります。
-
通信制限の速度や時間帯が違う:ポケット型Wi-Fiは月間のデータ容量を超えると、通信制限がかかります。一方、WiMAXは3日間でデータ使用料が10~15GBを超えると速度制限がかかります。
-
建物内など電波の感度が違う:電波は周波数が高くなるほど速度 は早くなりますが、代わりに遮蔽物に弱くなるのが欠点です。そのため、建物内や地下鉄内でWiMAXを利用するとつながりにくくなります。
-
毎月支払う料金が違う:ポケット型Wi-FiとWiMAXでは、月額料金に違いがあります。平均すると約600円~1,000円、ポケット型Wi-Fiの方が安くなる傾向にあります。
-
最低契約期間の有無:WiMAXは、ほとんどのプロバイダで契約期間が2年~3年となっていますが、ポケット型Wi-Fiは契約期間の縛りがないところが多いです。また解約時に、契約解除料金がかかりません。
ポケット型Wi-Fiがおすすめな人
-
1ヶ月のデータ使用容量が少ない人:データ使用容量の少ない人は、ポケット型Wi-Fiがおすすめです。ふだんからインターネットをひんぱんに使うことがありませんが、外出先でインターネットを利用したい人です。
-
契約期間に縛りがなく好きな時に解約したい人:契約期間に縛られたくない人は、ポケット型Wi-Fiがおすすめです。WiMAXはほとんどのプロバイダが、2~3年間の契約期間を設けています。それに対してポケット型Wi-Fiは、契約期間の縛りがないところが多くあります。
-
早くインターネット環境を作りたい人:早くインターネット環境を作りたい人は、ポケット型Wi-Fiがおすすめです。光回線を引くには、回線工事をしなければならないので、工事の業者が来るまで、普通約1か月は待たなければなりません。
WiMAXがおすすめな人
-
データ使用容量の多い人:毎月のデータ使用容量が多く、かつ外出先でもWi-Fiを使いたい人は、WiMAXがおすすめです。WiMAXは、月のデータ使用容量が実質無制限です。
-
通信速度の速いWi-Fiを使いたい人:通信速度が速く、かつ外出先でも使えるWi-Fiがほしい人は、WiMAXがおすすめです。WiMAXは一番通信速度が速い機種は、下り1.2Gbpsの速度が出ます。
-
光回線を引けない人、すぐにインターネットを使いたい人:賃貸住宅に住んでいて、何らかの事情で光回線を引けない人や、すぐにインターネットを使いたい方は、WiMAXがおすすめです。
これらの違いを理解することで、自分のニーズに最も適したデバイスを選ぶことができます。
まとめ
WiMAX +5Gは、WiMAXの広範なカバレッジと5Gの超高速データ転送能力を組み合わせた、次世代のモバイル通信サービスです。これにより、ユーザーはいつでもどこでも、高速で安定したインターネット接続を楽しむことができます。
さらに、UQ WiMAXは、WiMAX +5Gのルーターをいくつか提供しています。これらのルーターは、下り最大速度が2.2Gbpsから4.2Gbps、上り最大速度が183Mbpsから286Mbpsまでの範囲で、2.4GHzと5GHzの無線LANに対応しています。これにより、ユーザーは自宅でも外出先で も、高速で安定したインターネット接続を享受することができます。
また、UQ WiMAXは、WiMAX +5G割という特典を提供しています。これは、対象の料金プランに加入することで、13ヵ月間682円/月を割引するというものです。これにより、ユーザーはWiMAX +5Gのサービスをより手頃な価格で利用することができます。
WiMAX +5Gは、WiMAXの広範なカバレッジと5Gの超高速データ転送能力を組み合わせた、次世代のモバイル通信サービスです。これにより、ユーザーはいつでもどこでも、高速で安定したインターネット接続を享受することができます。また、UQ WiMAXの提供するルーターと特典により、このサービスはさらに魅力的なものとなっています。
山田 隆
監訳者の解説をここにつらつらと